会社のステージ別 【右腕幹部の育て方】

今日は、前回のコラムの続きとなりますので、
簡単に前回の内容を振り返りしたいと思います。

前回のコラムでは
「右腕がいない」と悩んでいる社長のために
どうすれば、自分にぴったりな右腕が見つかるのか?
についてお話をしました。

その中で特にポイントになるのが

①自分に必要な右腕の条件を明確にする
②右腕とは、自分に似たタイプではなく、社長がすべきではない業務を補完してくれる人材
③理想の右腕が見つかることで、社長が会社の成長に必要な業務に集中できる

という内容でした。

詳しい内容については、前回のコラムに書いていますので、下記のリンクからご一読ください〜。

というわけで、本日の内容に入っていきます。

目次
・右腕を見つける(育てる)ための3つの視点
・「生産→営業→管理」の順番でテコ入れしていくのが鉄則!!
・「良い商品(サービス)をつくれば、お客様は来る」という幻想…
・会社の成長は「私が一番優秀」から卒業できるかがカギ
・正しいロジックだけでは、会社は成長できない
・まとめ

右腕を見つける(育てる)ための3つの視点

今回は「右腕を見つけるために必要な3つの視点」というお話でございます。

前提として、年商10億円未満の会社に特に役に立つ情報になっています。
年商10億円を超える会社を経営されている方であれば、ご自身がやられてきたことの再確認や経営幹部を育成するための材料としてご活用くださいませ。

さてさて、前回のコラムでもお話したとおり、右腕を見つける(育てる)目的は「社長が会社を成長させるための業務に専念できる環境をつくる」ということです。
なので、全ての業務を「会社が成長させるために一番大事な業務」と「それ以外の業務」に分ける必要があります。

ここまで読んで「え〜、うちの業務量を考えるとめんどくさそう…」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、安心してください。
(履いてますw)

会社の成長に必要な業務かどうかを見分ける方法は、非常にシンプルです。

業務を分けると言っても、たったの3種類に分類するだけで良いんです。
業界や業種、会社の規模が違えど、たったの3種類でOKです。

では、その3種類とはどんな内容でしょうか?

次の図の通りです。

©️ランチェスター経営

この図をもう少し詳しく解説すると…

ーーーーー

① 営業
 見込み客を集め、自社の商品を買ってもらう部門
 → 売上を上げるのが役割

② 生産
 顧客が満足する商品をつくる部門
 → リピート率アップや良い口コミを広げるのが役割

③ 管理
 人やお金の管理をする部門
 → 会社の秩序維持と従業員幸福度を高めるのが役割

ーーーーー

の3つです。

「え?そんなこと??」と驚かれましたか?
「うちには、営業部長もいるし、生産部門の部長もちゃんといるよ!」と思われたかと思います。

当然ですが、ほぼ全ての会社には営業部門と生産部門、管理部門が存在しています。
そして、各部門に部長などの役職者もいます。

しかし「それぞれの部門を手放しで任せられる人材がいますか?(=社長が全く干渉しなくても、各部門の数字が自動的にドンドン上がっていきますか?)」という問いに対する答えはいかがでしょう?

YES!と即答できる人は少ないんじゃないかなぁと思います。
(そのような人材が部下にいれば「右腕を見つける方法」というタイトルを付けた当コラムを読んでいないでしょうし)

論点が少し散らかってきましたので、ポイントを整理していきますね。

ここで一番お伝えしたいのは、

1,スピード感を持って会社を成長させたければ、まずは、業務を3つに絞って考える
 ↓
2,その上で、社長が集中すべき業務と部下に任せる業務を明確にする
 ↓
3,各業務が回る体制(と仕組み)をつくっていく

ということです。

この体制を作らずに、社長が全ての部門を網羅的にやってしまうと、社長の頭の中がパンクしてしまいます。
その結果、現場を回すことだけで、いっぱいいっぱいになり、会社を成長させるための改善策などを考える余裕が無くなります。

そうなると、「なんとかしなきゃ」と思うものの、ただただ時間だけが過ぎてしまうという現実が待ち構えます。

という訳で、大事なのは、会社のステージを踏まえて、テコ入れする部門の優先順位をつけることです。
一つ一つ順番に仕組みを整えていくことで、前年比150~200%の成長率も夢ではありません。

では、どの順番でテコ入れしていけば良いのでしょうか?

「生産→営業→管理」の順番でテコ入れしていくのが鉄則!!

答えは「生産→営業→管理」の順番です。
既に会社があるということは、何かしらの商品やサービスはあるかと思います。
ですので、生産部門は、既にあるものとして話を進めます。
(というのも、リピートや口コミを起こせる良いサービスが無いと、そもそもビジネスとして成立しませんので)

多くの会社が、成長の踊り場に止まってしまっているのは「営業」または「管理」のどちらかが原因です。
逆に、ここをクリアできれば、会社を一気に成長させることは可能です。

もしあなたが「うちは良いサービスはあるんだけど、顧客開拓に課題があるんだよ」というお悩みでしたら、生産部門を部下に任せて、社長が営業を強化してください。
(つまり、このフェーズに必要な右腕は、生産部門を任せられるリーダーになります)

もしあなたの会社が「うちは、集客も営業もうまくいってるけど、離職率が少し高いのと、リーダーや幹部層がなかなか育ってくれないんだよね…」という課題があれば、管理部門を強化するフェーズです。

繰り返しになりますが、「生産→営業→管理」の順番でテコ入れしていくことが肝要です。
この順番を間違えてしまうと、社長がイメージするスピードで会社を成長させていくことはできません。

こちらについては、事例を交えてお話しした方が分かりやすいので、前年比150%以上の成長を5年続けてあっという間に年商10億円を突破した会社の話をご紹介しますね。

「良い商品(サービス)をつくれば、お客様は来る」という幻想…

10年以上前の九州の地方都市にある製造業のお話です。

地域密着型で、個人向けの非常に質の良い商品を提供している会社です。
リピート注文や紹介などで年商は1,5億円ほどの規模でした。

社長のAさんは、非常に職人肌だったので、商品の質には非常に厳しく「良い商品をちゃんと作っていれば、お客様は来てくださる」というのが口癖でした。

A社長は、年商10億円以上を目指しており、新商品をつくるなど色々と手を打つも、なかなか思うように売上が伸びません…

そんな折、地元の経営者の集まりで、最近グングン売上を伸ばしている別業種のB社長と話す機会に恵まれました。

A社長は尋ねます。
「最近、すごいスピードで会社が大きくなっていますけど、何をされてらっしゃるんですか?」

B社長は答えます。
「マーケティング(=集客)に力を入れてるんですよ」

A社長
「マーケティング???」

B社長
「はい、マーケティングです。いくら良いサービスがあっても、見込み客に認知されないと存在しないのと一緒なので。お客さんが満足している良いサービスや商品が既にあるなら、商品価値を上げるよりも、新規顧客の獲得した方が、会社は伸びますよ

良い商品をつくれば、お客様は来るという信念のもと仕事をしていたA社長はハンマーで頭を殴られたような衝撃でした。


え!? そこがポイントやったんか〜い!!

そこから、B社長の勧めで、地元の地方紙やGoogleに出稿する広告の勉強をしたり、販売スタッフの営業力を上げるロープレを取り入れることで、年商は3億→5億→8億→10億円と、右肩上がりに伸びていきました。

と、ここまで聞くと、順風満帆に聞こえるのですが、この成長の陰で、A社長は非常に大きな壁に直面していたのでした。

それは何かというと、生産部門を部下に任せることができなかったのです…

会社の成長は「私が一番優秀」から卒業できるかがカギ

先述のとおり、A社長は非常に職人肌でもあったので「自分でつくった商品が一番良い」「お客様から直接ありがとうと言われることが何よりの幸せ」という気持ちが心の奥にありました。

ですが、会社を大きくするために、社長がマーケティングや営業の強化を担当することになると、必然的に、商品作りは部下が担当することになります。

しかし、社長の目から見ると、部下がつくる商品は、社長がつくるものと比べると粗が目立ちます。

最初の頃は、つい口を出してしまって、本来すべきマーケティングや営業トレーニングをそっちのけで、工場に出入りする姿も散見されました。

そうなると、生産部門を任されていた部下も面白くありません。
せっかく一生懸命つくった商品に対して、社長がダメ出しをしてくるのです。

「だったら、社長が作れば良いじゃないですか!」
我慢の限界に来た部下が社長にキレました。

その言葉にカチンと来た社長も「うるさい!もういい!」と怒鳴り返し、工場を後にしました。

その後、数日間モヤモヤを抱えたまま過ごしましたが、部下に任せると言ったのはそもそも自分ですし、何より、いつまでも自分が現場で物作りをしていると、会社を成長させることはできないなという思いが強くなってきました。

結果、「会社を成長させるために、大好きなものづくりの現場から離れよう!」と腹をくくることができました。

そして、今までの言動を反省した社長は、怒鳴った部下に対して、「先日は本当にすまなかった。君に任せると言ったのは私だった。これからもよろしくお願いします」と頭を下げ、打ち合わせなどで必要な時以外は、工場を訪れる機会は大きく減りました。

それからは、社長は、生産部門は部下に任せ、自分はマーケティングと営業の強化に専念するようになったのです。

その結果は、先ほどご紹介した通りです。

正しいロジックだけでは、会社は成長できない

今回ご紹介したとおり、会社を成長させるためには「仕組みを整える」というロジックやノウハウの部分は非常に大切です。
確かに、会社を成長させ続けるための王道の方法はあります。

しかし、社長も人間ですので、正しいロジックだけを学んでも、感情的な壁が原因で実行に移せなかったり、実行したつもりになっている場合も非常に多いです。

特に社長は総じて優秀かつ努力家ですので、今までやってきた自負もありますし、部下の至らない部分が目につきやすいです。

実際に、私のところにも、似たような課題を抱えて相談に来られる社長は多いです。
お話を伺っていると、今まで自分が主役だったのが、急に脇役になったような気持ちになることに抵抗感を感じるようです。

そんな時に、私が彼らにお伝えするのが、次の言葉です。

「今までは、社長が主人公で、スーパーマンでした。そして、会社を成長させたいなら、部下を主人公にすることが大切です。そして、それは、社長が脇役になったのではなく、プロデューサーという役割に変わっただけです。

例えるなら、今まで社長は映画の主人公でしたが、監督になって、スクリーンの外側で実力を示すようなものです。」

このプロデューサーや監督という感覚に切り替わったときに、世界の見え方は一変します。
文字通り、成長のための「分岐点」となるのです。

優秀な部下や幹部を育成できる社長というのは、総じて、この感覚を持っていますし、これこそが「社長の器が大きくなる」瞬間なのです😃

そして、社長の器が大きくなることで、右腕となる部下も必ず育っていきます。

かなり長くなりましたので「管理部門」のテコ入れについては、次回のコラムでお話ししますね!

まとめ

というわけで、本日のまとめに移ります。

今回のコラムでは、

① 右腕を見つける(育てる)ためには、自社の業務を「営業、生産、管理」の3つに分類する
② 会社を成長させるためには「生産→営業→管理」の順番でテコ入れしていく
③ 「私が一番優秀」から卒業することが、会社の成長につながる

をお伝えしました。

① 右腕を見つける(育てる)ためには、自社の業務を「営業、生産、管理」の3つに分類する

会社を成長させるためには、業務をこの3つに絞って考えることがポイントです。
できる限りシンプルに捉えることで、集中すべき業務とそうでない業務を見分けることができます。
その結果、今の自分に必要な右腕の業務も明確になります。

② 会社を成長させるためには「生産→営業→管理」の順番でテコ入れしていく

この順番は絶対ですので、常に頭に入れておいてください。
多くの会社は「営業」または「管理」が課題の場合がほとんどです。

「営業」をテコ入れする場合は、右腕は「生産」部門を任せられる人材になります。
「管理」をテコ入れする場合は、色々と条件がありますので、次回以降のコラムで詳しくお話しいたします。

③ 「私が一番優秀」から卒業することが、会社の成長につながる

右腕を育てられない社長は、無意識で「私が一番優秀」だと思っている場合が多い。
ここを乗り越えて「部下を主役にする」ことができれば、会社は大きく成長する。

以上が、本日の内容となります。

特に今回一番お伝えしたかったことは③の部分です。

そして、ここの壁にぶつかる社長は非常に多いです。
でも、これって人間ですから当然だと思っています。

今まで頑張ってきたプライドもありますし、会社や商品への想いも強いわけですから。
他にも、幼少期の親との関係が影響している場合もあります。

今まで1万人以上の対人支援を行ってきた経験から申しあげますと、このような感情的なケースに関しては、正論だけでは対処できず、コーチングやカウンセリングなどが必要になってきます。

ぜひ、このようなお悩みを抱えていらっしゃれば、ご相談いただけると嬉しいです。

コラムを読んでくださっている方は、特別に60分無料でご相談いただけます。
こちらのフォームからお問い合わせください。

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう😃🎵

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